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浅田真央選手、ラストシーズンに向けて

また1つ、大輪の花が最高の舞台に向かって最後の見せ場を作ろうとしている。

浅田真央。

彼女はフィギュアスケートにととまらず、スポーツのジャンルの垣根をこえて、

そしてスポーツに関心のない人達までも巻き込んだ、

日本スポーツ史上、恐らくは長く人々に語り継がれるであることに間違いないと思われる、

まさに時代を代表するスーパースターである。



彼女の引退を「若すぎる」「早すぎる」という声を耳にする。

だが、そうであろうか?

22歳にして既に世界選手権金メダル2個、銀メダル1個、銅メダル1個。

グランプリファイナルにおいては金メダル3個。

そして言わずと知れたバンクーバーオリンピック銀メダリスト。

この華やか過ぎる経歴は、今すぐにに引退をすると言っても

喜んで、皆が拍手でたたえて送り出す、そんな大変な称号だ。



ではなぜ、彼女が今ここでソチを目指すのか。

それは彼女が一度決めたら必ず貫き通すと言う

強い信念の持ち主であるからではないだろうか。



バンクーバーで銀メダルを獲得した直後、休むことなく

スケーティングの修正にとりかかった真央選手。

何もここで修正をしなくても、彼女の技術力をもってすれば

あと数シーズン、切り抜けていけないこともなかったろう。

だがしかし彼女はそれをしなかった。

楽な道ではなく、あ・え・て、

茨の道に飛び込んだ。



一度決めたら貫き通す。

そんな彼女の意志が強いことは、長く見守ってきたファン達なら皆知っている。

それこそが、浅田真央の魅力なのだ。

誰が何と言おうと、どんなに失敗しようとも、

だから皆、浅田真央についていくのだ。



私達ファンも見守っていて苦しい日々が続いた。

ファンでさえそうなのだから、当のご本人の気持ち、

周囲の人達の心中は察するに余りある。

そしてその気持ちがやっと報われる日がきた。

それが今シーズンの、グランプリシリーズ全制覇、

四大陸選手権優勝、世界選手権銅メダルなのだ。



そして何よりも私が一番嬉しかった言葉。

それはJスポーツの小林アナの言葉である。

「たくさんの苦労も見てきました」


本当にフィギュアスケートを知っている人の口からは

こんな素敵な言葉が出るものなのだ・・・



世界選手権、順位は3位だったが

1位、2位はグランプリシリーズに出ていない選手たちである。

私は思う・・・

シーズンを通して試合に出続け、そしてファイナルも制した。

ファイナルでの優勝こそ、価値があるのではないかと。

もちろん、ブランクを経て表彰台に上がった選手たちの実力は認める。

しかし、バンクーバー以降、1シーズンたりとも休まず試合に出続けた

真央選手の、数字には表れない何かを皆、忘れてはいないだろうかと・・・



国別対抗戦では今までに見た事がない真央選手の姿を見た。

周囲をはばからず大きな声で応援する姿。

パフォーマンスを心底楽しんでいる姿。

これが最後だと思ってのぞんでいたのだろうか。


そして、フリーでは後半、突然のスピードダウン。

必死にプログラムをこなす真央選手の姿が

黒鳥ではなく、瀕死の白鳥の姿に重なった。



浅田真央。


ソチオリンピックの時には23歳と5ヶ月を迎えているはずである。


伊藤みどりがアルベールビルの後引退したのが22歳。

佐藤有香が世界選手権で優勝後、引退したのが20歳。

荒川静香がトリノオリンピック後引退したのが24歳。

それを思うと、決して「早過ぎる引退」ではない。



浅田真央。

12歳の時から、こんなに長く応援できる選手に会えた事は

フィギュアスケートファンにとってこれ以上の喜びはない。

願わくば、1年と言わず、1分でも1秒でも長く

私達に夢を見せてほしい。


彼女の意思を尊重しつつも、

矛盾だらけのいちファンなのである。
by sasha_2006 | 2013-04-16 15:53 | フィギュアスケート